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ウクライナ避難民受入れにあたって

声 明

ウクライナ避難民受入れにあたって

ウクライナからの避難民を受け入れると日本政府が表明し、各自治体なども様々な支援を表明しています。政府は受け入れにあたって生活費の支給、就労支援、子どもの教育保障などの支援と、査証がなくとも「短期滞在」90日の在留資格を認められ、さらに就労可能で住民票に記載される在留資格「特定活動」1年への変更を速やかに受け付けるとしています。

日本への渡航費の支援もいわれています。4月5日に政府専用機で避難してきた人が20人、4月9日と16日に政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が20人になりました。

自治体などでは、住居の提供や家賃の免除、生活費や一時金の支給、子どもの教育保障、日本語学習、国民健康保険への加入などを表明しています。庇護を求めるものを受け入れ、多くの支援を行うことは歓迎すべきものです。

しかし日本政府やほとんどの自治体は、これまで1975年以降のベトナム難民をはじめ、シリアからの避難民、アフガニスタンの難民、ミャンマーで弾圧されている野党活動家・支持者や少数民族のロヒンギャ、トルコのクルド民族にこのような支援を行ったことはありません。アフリカのスーダン、コンゴ民主共和国、カメルーン、ウガンダなどから庇護を求めてきた人にもありませんでした。アジア、中東、アフリカから庇護を求める人たちには厳しい姿勢でした。
出入国在留管理庁はこれらの人々を難民として認めることもほとんどありません。今回は欧米の顔色をうかがい、空気を読んでの決定だったようにいえます。ただこれを機会に日本も「難民砂漠」といわれることのないよう、難民に優しい国に変わることが望まれます。

出入国在留管理庁の難民認定基準は、1951年に確定し1954年に発行した当時の難民条約に基づいたものでしかありません。その後に国連難民高等弁務官事務所は難民の範囲を拡大するように、時代の要請を受けたものに変更するためのガイドラインを公表してきました。

2016年のガイドラインでは「武力紛争および暴力の発生する状況は、難民の移動の主要な原因である」して、日本政府のいう「避難民」そのものを難民条約上の難民として認めるように指摘したものです。

このように難民の狭い解釈に固執する出入国在留管理庁が持つ矛盾を「準難民」制度の新設や補完的保護の名目での保護のための法改定を理由に、昨年廃案となった入管法改悪案を再び持ち出してきています。この法案では、2回の難民申請で不認定とされた人は送還停止効(難民申請中は強制送還されないという原則「ノンルフールマン原則」)の例外にするとしています。国連の3つの特別報告者はこの法案を危惧し、「ノンルフールマン原則は、いかなる例外もない絶対的なものであることが特徴」とまで指摘しています。

ウクライナ避難民の受け入れをきっかけに、難民を受け入れる日本に変わることが望まれます。

2022年5月1日
NGO神戸外国人救援ネット

(2022年5月1日 更新)

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